HAGIBLOG

自転車とお菓子作り

ツールドさくらんぼ2015

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6月13日土曜日。3回目、3年連続の参加。

ゴール後にテレビカメラを持った人が、取材をしているんですけれど、ちょっといいですか、と寄ってきて、自転車に乗っていて大変だと思うんですけど、何が楽しいんですか、みたいなことを聞いてきた。とっさにうまい答えができるほど気が利いているわけでもないので、はあ、まあ、つらいのが楽しいです、みたいなことを言うと、なんとなく会話も膨らまず、カメラは別の人の方に寄って行った。夕方のニュースで僕のインタビューが使われることはないな、と思った。

何が楽しくて自転車に乗っているのか、去年、おととしもこの大会でそんなことを考えた気がする。

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最近になってようやく「弱虫ペダル」を読みはじめた。作中に真波山岳くんというキャラがいる。インターハイの3日目、最終ゴールに向かう登り坂の途中で、真波くんは勝負相手の御堂筋くんにこんなことを話しかける。

「キミは学校で授業うけている時”生”を感じる? オレは感じない」と。

真波くんは、自由で奔放なマイペースキャラで、自分の好きなこと以外は何もやらない、といった感じの天才肌なのだが、そんな真波くんがなにより好むのは自転車で坂を登ることだ。しかしながら、自転車に乗って坂を登るという行為は、自由とはほど遠いものようにも思える。鉛の足かせを付けられるかのような、重力の影響をもろに受ける傾斜面においては、自転車で走るなど自由どころか不自由そのものといってもいい。

真波くんはよりによってそのような不自由な道の上で、極限まで自らを追い込むような、ぎりぎりの勝負を好むのだという。なぜか。

真波くんは、こう続ける。

それってすごく”死”に近いと思うんだ けれどわかるだろう 人は誰しもそうなんだ そういう時に湧き上がるんだよ 自分が本当に生きてるって感情が

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ツールさくらんぼの一番の難所は葉山ヒルクライムで、コースの序盤にして良くも悪くもこの大会のメインディッシュが現れる。ここのせいで、楽しく走りましょう的なファンライドにしてはその完走の難易度を一気に引き上げている気がする。完走率がどのくらいなのか知らないけど。

今年は葉山の登りの前に工事区間があり、その砂利道をゆっくり歩いて渡った。そして工事区間が終わって登りが始まる。まあ、今回はのんびり登ろうと思っていたのだが、ふと坂に差しかかると、いつもの通り負荷をかけて登り出していた。すぐに汗が噴き出して、息も乱れたけれど、そのまま力を入れて登り切った。自然や道をちゃんと感じ取ろうというとき、のんびりペダルを回していては何にも感じないように思った。

もちろん僕は真波くんのレベルとはぜんぜん違うけれど、どうして自転車に乗るのかといったら、真波くんが語っていた感覚と近いのかもしれないと思った。

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