HAGIBLOG

自転車とお菓子作り

モンブランのタルト(とある方の誕生会に添えて)

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数週間前のことだった。正確にいうと10月7日に日付が変わった深夜に帰宅したわたしはその時間からタルトの台を焼き、少し寝て、朝の空が白むやいなや起きてクリームを絞り、いつもの時間に会社に行って一日の仕事をしたあと、夕方に粉砂糖を振って多少見栄えをよくしたそれを、ダンボールの空き箱に入れ、ふらふらと吊り下げて持ちながら自転車で運んだ。

誕生日、なのだそうだ。そのことを前もって知らなければ、ただそのお祝いの場なりに参加させてもらうだけで済んだのだろう。ご親切に、それをわざわざ知らせてくれた人もいたわけである。ケーキでも作ってはどうか、などと言って。このくそ忙しい最中に、時間がないことも知っていただろうに。むちゃぶりもいいところである。

しかし考えてもみれば、その誕生日を迎えた人というのが、ある意味ではわたしがこのくそ忙しさに身を置くきっかけを作り出した、たいへんに愛憎入り乱れるというべき御仁なのであるから、その恩義に報いるためなら多少の労などちっとも苦労ではないのである。