HAGIBLOG

自転車とお菓子作り

ツール・ド・さくらんぼ2014

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6月29日日曜日。

雨は朝から降りに降っていた。会場には同じチームジャージーーいつのまにかぼくも買わせられていたーーを着た仲間が集まっていた(いや、どうだろう、チームや仲間というほど普段から一緒に走っているわけでもない。ひじょうに微妙なつながりのメンバーではあるのだが、なぜかこの日に限っては妙な一致団結を見せるようなのだ)。

実をいえば、この雨だからメンバーの誰かが棄権しようと口に出したら、ぼくもそうしたいつもりだった。ところが誰も言い出さない。おかしい。彼らに走らないという選択肢は持ち合わせていないのだろうか…。(これは一見、勇敢なように見えて、逆ではないのか? ぼくらは雨の日にDNSする勇気を持つべきなのではないか…?)

しかし、なるほど雨のライドというものはイベントだからこそ経験できるシチュエーションなのかもしれない。普段だったら天候が悪かったらとうぜん自転車なんかに乗らないから。思えば蔵王ヒルクライムも、ツールドおぐにも、今年参加した大会はいずれも悪天候のもと開催された。けれども、それなりに、というかそれゆえに思い出深い大会になったように思う。だから、おそらくはこのツールさくらんぼも…。

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スタートー慈恩寺エイドー葉山エイド

そんな期待と失望が混じり合うなか出走した。スタートして間もなく、意外なことに雲の切れ目から青い空が見えてきた。おお、晴れてきた。けどまあ、この天気が終わりまで続くだなんて、そんなに虫のいい展開になるとは到底思えなかったが。どうせまた降り出すに決まってる…。(持ち前のネガティブ思考)

まずは出だしの楽勝エイド、慈恩寺エイドで今年もお守りをゲット。補給食は豆腐のお菓子とバナナをいただいた。この先の葉山に対する備えということでは、ところてんより良い。

葉山の上りは去年と逆回り。葉山の区間で雨が降っていなかったのはよかった。とくに、山から下る際に路面が濡れていたりしたらひじょうに怖い。

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ヒルクライムヒルクライムとして走る、というふうに意識し出したのは、いつからなのだろうか。それは去年のこの大会だったのかもしれない。それまでは、ただ、なんとなく自転車に乗っていて、坂が差しかかればなんとなく嫌だ、というくらいにしか思っていなかった。

体重が軽いのでわりとヒルクライム向きなのかもしれない。今年は蔵王ヒルクライム大会への参加も果たしたし、日頃のライドも自然と山登りに向かうようになってはいる。それでもときどき疑問に思うのだが、坂を全力でのぼって何になるというのだろうか。何にもならないどころか、無駄に足を使って完走だって危ぶまれるというのに。

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しかしそんなことをいったら、自転車に乗ったら何になるのかという話でもある。別に何になるわけでもない。だから、もうなんだっていいのだ。何かをやったら何になるとか、もうどうでもいいじゃないですか。結局のところーーウディ・アレンの映画が言うようにーーうまくいくなら、楽しめるなら人生なんでもあり(whatever works)なのだ。坂を上るのに意味を求めても無駄である(意味なんかないから)。上ったら楽しい。それだけ。

必死こいてペダルを踏みながら、さくらんぼを手渡しで受け取った。さくらんぼは異常なほど甘い果汁を溢れさせ、息をできなくさせた。

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月山湖エイドー大井沢エイド

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山を下りて次のエイドへ向かう途中、ぽつりぽつりと冷たいものが落ちてきた。案の定、それはあっという間に本降りになった。雨に打たれ続けて寒さが募る。月山湖に到着して雨は最高潮に。雷まで鳴る始末。

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月山湖エイドは、お餅もよいけれど、菓子処「松月」の羊羹がなにげにポイントが高い(羊羹が好きなので)。もう少し厚く切ってください。

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月山湖から大井沢までは、コース的には楽な区間だけれど、雨と寒さで我慢の区間だった。幸い、大井沢に付く頃には雨も弱まって、雲も薄くなってきたようだった。寒気も和らいできた。

大井沢エイドのそばはおいしかったけど、温かいおそばがよかった、などと言った。これで暑い日に温かいそばだったりしたら、冷たいのがいいなどと言い出すのだ。勝手な参加者の要求はとどまるところをしらない。

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どうやらさっきから、次の区間への出発は足止めされているようだった。この先の安全確認だとかで出発を待たされていた。ほどなくゴーサインが出て先へと進む。が、しばらくいくと、集団が止まった。土砂でこの先は進めないとか、大会中止だとか、そんな声が聞こえた。前の方から続々と引き返してきた。

真相はよくわからなかったが、この先は進めないらしい。となると、来た道を引き返す…。それしか道はないしね、しょうがない。戻りますか!

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引き返して、ゴール

大井沢から引き返してからは、天気は打って変わって良好で、路面も服もあっという間に乾いた。最後は晴れてくれたので、だいぶいい。逆に、晴れから雨になるのは後味が悪い。

とまあ、そんなこんなでゴールした。公式的には大会途中中止ということであった。でもまあ無事自走でのゴール。

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雨にもかかわらず、ということが二つあった。一つは、沿道には応援の方々がーー去年と比べれば声援も少なかったけれどもーー見受けられた。そりゃ、たとえば路上のパフォーマーとでもいうべきプロ・ロードレーサーなら、美しかろう、見る価値も大いにあるだろう。けど、このようなオラが町の自転車大会に出ているのは、残念ながらそういった面々ではなく、ただ自転車に乗っているだけのーーいってしまえば見苦しい!ーー一般人なのだ。 そんな連中を応援してくれる、それも雨の中で、というのは驚嘆すべきことだ。おもてなしの心に我々は感謝すべきである。

二つめは、この雨にもかかわらず、件のピンクジャージを着た連中はみんなけっこう写真を撮っていたようである(ちゃっかりミスさくらんぼと撮ったりしている)。写っているのはどの場面をとっても笑顔だったという話だ。へえそうですか、たいへんけっこうなことですね、というようなライドを今年も達成したとのことである。 それではまた来年。