HAGIBLOG

自転車とお菓子作り

ツール・ド・おぐに(2014わらびサイクリング)

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最近、雨雲のイラストが描かれたサイクリングキャップを買った。そのキャップのツバの裏側には「MERDE!」とあるのだが、これはフランス語で「糞ったれ!」という意味である。いうまでもなく、雨のなか自転車を漕ぐという状況が糞ったれ! なわけである。

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しかし梅雨というのは本来美しい季節でもある。湿気、濡れた植物の艶、黒光りするアスファルト、雨音の響き…、それはそれとして趣き深いものである。ウディ・アレンの映画『ミッドナイト・イン・パリ』の主人公は、雨のパリは最高だと主張していた。その感覚はぼくにもわかる。雨だからといって、なにがなんでもMERDE!と叫びたいわけではないのだ。

それでも。しかしそれでも、自転車となると話は別だ。雨と自転車という組み合わせの悪さ。雨のサイクリングを楽しむなんて、よっぽどの達人か変人でないと到達できない境地である。それほど習熟してないぼくなどは、いきおい天に向かって悪態をつくばかりである。MERDE!

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小国町のサイクリング大会は、春は「わらびサイクリング」、秋は「きのこサイクリング」と年に2回ずつ行われてきた。ぼくはこの辺鄙(といっては悪いけど)な土地で開催されるサイクリングイベントがわりと気に入っていた。地元のあたたかい支え、参加者の雰囲気、ユーモアと丁寧さを感じさせつつなんとなくドタバタ感もある大会運営、それでいてコースは小国の峠道を中心とした容赦ない難コース…という点もよかった。

それが今回、「ツール・ド・おぐに」へとバージョンアップした大会となって開催される。2日間で200人もの参加者が集まるという。おまけに参加賞として大会Tシャツまで配られるなど、これはもう完全に立派な大会ですね! という感じの、たいへん晴れがましい舞台となったツールドおぐに。それだけに、今日の雨天はあいにくすぎる…。

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開会式。町長もあいさつに来ていた。町のゆるキャラもいる(…なにかと思ったら、ああ、わらびですね)。

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小雨が降るなか、何分か遅らせてのスタート。もうこうなったらずぶ濡れを覚悟して走るしかない。今回は初めてタフマンコースにエントリー。盛りだくさんのフルコースを走って100km。

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雨は常に降り続けていた。止んだと思ってもすぐに降り出した。天候は快方に向かうと聞いていたが、すっきり晴れる気配は一向にない。

しかし今シーズンは、これまでまあまあ走ってきているので、前回より余裕を持って行ける感じ(のはず)。峠を一つ越えたところで、シュークリームのご褒美があった。

休んでいると少し寒い。上はジャージにウインドブレーカー、下はビブショーツの膝出し。ウェアの選択はまったく難しい。くそ! 

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町中へ下りて、町役場で集合写真を撮った。その後、これも恒例となった駅前商店街のパレードランへ。雨にもかかわらず通りの人たちが沿道に出てくれて、たいへんありがたいことです。

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ここから、タフマンコースはタイムトライアルへ。初の挑戦である。20人くらいずつ、1分おきにスタート。

微妙な上りが続く道。最初に参加したときは、このコースが辛くてヘロヘロになったのを覚えている。まったく自転車に乗れていない時期だった。そのときも少し雨が降っていたかもしれない。

そのときに比べれば、今は少しは脚力はついたかもしれない。でも辛さがなくなるということはない。速い人で40分くらいと聞いていたが、ゴールまでの距離がわからず闇雲に飛ばしてしまう始末。雨と汗でびしょぬれだ。糞ったれ糞ったれ糞ったれ…。

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後半は脚が売り切れて完全に失速。ゴールまだあ? という感じで、まったく頑張りが効かなくなった。最後の坂をなんとかのぼり切ってゴール。

このTTで脚を使い果たした感じ。残りのコースを走れるかしら…。

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エイドに到着。わらびのピザパンがおいしい。

去年は、この先の横川ダムまで足を伸ばしてダム見学に行ったのだった。今日は、まったく、雨もひどいし、脚の疲労具合からいっても、ただもう帰りたいだけである。

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休んでいるうちに、雨が土砂降りになってきた(くそ!)。東屋の下で雨宿り。天候が悪すぎるためコースが変更とのアナウンスがあった。あとは楽に帰るだけにしてくれるのね…と思ったら、最後にもう一つの峠越えがあった。ああ、去年走った道順ね。

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ということは、最後にまた緩い上りが延々と続く道を辿ることになる。ちょっとそこまでのつもりが、いつまでたっても届かないけっこうな距離。小国の広さを実感しつつ、最後まで雨の降るなか、旧小玉川小中学校へ帰着。

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ゴールしたとたん、雲間から日が射し始めた。日の光を浴びる気持ち良さ、日向にたたずむここちよさ。

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待っていたのは、イワナの塩焼きであった。わらびであった。わらびのおひたしとわらびのみそ汁は、わらびサイクリングに初めて参加したときとまったく同じで、それがあいかわらずおいしくて、とてもしみじみとした気分になった。

雨のなか(いや、実は晴れていたとしてもだが)自転車に乗るという行為は、悪態をつきたくなる瞬間の連続なのだ。しかし、それにもかかわらずどうしてこんなに充実感があるのだろう、ということを不思議に思う。雨で最高にメルドな大会になるのかと思われたツールドおぐにも、終わってみれば最高にいいサイクリングとなっていた。

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