・4月29日火曜日。 ・今日も蔵王へ。上山からエコーラインまで行ってみる。だんだん高度を上げていこう。
・いったん13号線近くのコンビニに立ち寄って、と。 ・自転車の人が買い物して出てきたのであいさつする。 「おはようございます」 「あ、どうも」 「これから蔵王のぼるんですか？」 「ええ、笹谷を越えて向こうから登りたかったんですけど、笹谷が通行止めだったのでこっちに来たんです」 「……」
・笹谷峠を越えて宮城県に入り、そっち側から蔵王を越えて帰ってくる…そんなルートを組み立てちゃうのか！ ああおそろしや…。 ・パンをもぐもぐしている隙に、ぼくは先に行かせてもらおう。
・天気もいい。いつもの、自分を追い込む一歩手前のペース（いわゆるマイペース）で走る。
・しばらくして… ・ふと後ろを見ると…、あ、来やがった！ さっきのパン野郎！ ・あまり簡単に差を詰められるのも悔しいので少しペースを上げる。 ・しかし、ささやかな抵抗もむなしく、あっというまに追い抜いていってしまった。
・付いていくのは無理だとしても、せめて視界には捉えていたい。 ・…いや、それも無理。カーブを３つ4つ曲がると跡形もなくなってしまった。
・また単独行へ。 ・ときおり車が追い抜いていく以外は、静かだ。 ・踏み込むたびに、ホイールの風切り音とチェーンの金属音とタイヤがアスファルトをこする音の和音がよく響く。
・ライザのスキー場。予定ではこの辺までかなと考えていたが、さっきの人はとうぜん先へ行ってしまっただろうし、もう少し行ってみっか。
・ここからが長い。もうどのくらい登っているのかわからなくなってきた。つらい。 ・コンビニから何も口にしていない。これはまずいかもしれない。 ・背中をごそごそ、あんドーナツを取り出して食べる。噛みながら息ができなくて、くるしい。 ・あんドーナツうまい。 ・だんだん雪が多くなってきた。
・刈田駐車場へ到着。けっこう人がいる。自転車とかバイクとかスノーボーダーとか観光とか。 ・さっきの人もいた。（あ、またパン食ってる！）そのうち宮城県側へ颯爽と下りていった。下界に下ってまた登ってくるのか。
・雪壁の間を走る。これはちょっと感動する。すばらしい。 ・お釜へと向かうハイラインの料金所まで行き、折り返した。
